同性婚のパートナーのビザの可能性

03-6450-2865

10:00~19:00(土・日・祝日を除く)
10:00~17:00(土曜日)

無料相談予約

Q&Aはこちら

東京都品川区上大崎2丁目24-11 目黒西口マンション2号館 905号室 (駅から徒歩2分)

同性婚のパートナーのビザの可能性

日本には、日本人の配偶者であれば「日本人の配偶者等ビザ」、永住者の配偶者であれば「永住者の配偶者等ビザ」、技術・人文知識・国際業務ビザや経営・管理ビザを持つ人の配偶者であれば「家族滞在ビザ」というように、日本で暮らすことができる人の配偶者であることにより取得できるビザがあります。

性に関する価値観は多様化しており、海外では同性婚を法的に認める国や地域があります。
それでは、同性婚をしたパートナーは、ビザを取得して日本で暮らすことができるのでしょうか?
本コンテンツでは、同性婚とビザとの関係について説明します。

同性婚の歴史

1989年デンマークで世界で初めて、同性カップルに異性カップルが結婚している場合に認められるのとほとんど同じ権利が認められる「登録パートナーシップ法」が作られました。結婚は出来ないものの、同性同士の関係が法的に保護されるようになりました。

同性婚の意義

同性婚は、男性と男性、または女性と女性の同性が結婚することをいいます。
近年では、いわゆる性的マイノリティの人権擁護が世界的に認知され始め、LGBTという言葉も浸透しだしてきています。
また、欧米を中心に同性婚を法律上認める国も増えています。

同性婚が認められている国一覧

同性婚が認められている国一覧20232月現在)

国 名

法律施行日

1

オランダ

200141

2

ベルギー

200361

3

スペイン

200573

4

カナダ

2005720

5

南アフリカ

20061130

6

ノルウェー

200911

7

スウェーデン

200951

8

ポルトガル

201065

9

アイスランド

2010627

10

アルゼンチン

2010722

11

デンマーク

2012615

12

ブラジル

2013516

13

フランス

2013518

14

ウルグアイ

201385

15

ニュージーランド

2013819

16

英国

2014329

17

ルクセンブルク

201511

18

メキシコ

2015622

19

米国

2015626

20

アイルランド

20151116

21

コロンビア

2016428

22

フィンランド

201731

23

マルタ

201791

24

ドイツ

2017101

25

オーストラリア

2017129

26

オーストリア

201911

27

台湾

2019524

28

エクアドル

2019612

29

コスタリカ

2020526

30

チリ

2022310

31

スイス

202271

32

スロヴェニア

202278

33

キューバ

2022927

34

アンドラ

2023217

35

ネパール

2023628

36

エストニア

202411

37

ギリシャ

2024216

日本では同性婚は認められていません。
根拠法は、日本国憲法第24条1項
「婚姻は両性の合意のみにおいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、
相互の協力により、維持されなければならない。」に基づくものです。

世界の同性婚の潮流

欧米においては、パートナーとの関係を事実婚で済ませるカップルが増えています。
事実婚の定義は様々ですが、一般的には法的な婚姻手続き(法律婚)をしていない状態を指します。
フランスにおけるPACS(民事連帯契約)のように異性間または同性間のカップルに法律婚に準じた扱いを認める制度を採用する国もあります。
なお。一般的に「同性婚」という言葉は、従来から異性同士に認められてきた法的な意味での結婚(婚姻)を指すことが多いといえます。このコンテンツでも法的な意味での同性婚にフォーカスして解説していきます。

法務省入国管理局長の同性婚パートナービザの見解

同性婚のパートナーの方のビザについて、2022年現在における法務省の見解は以下の通達の通りです。

法務省管在第5357号
平成25年10月18日
地方入国管理局長殿
地方入国管理局支局長殿
法務省入国管理局入国在留課長 石岡邦章

同性婚の配偶者に対する入国・在留審査について(通知)

在留資格「家族滞在」、「永住者の配偶者等」等にいう「配偶者」は、我が国の婚姻に関する法令においても有効なものとして取り扱われる婚姻の配偶者であり、外国で有効に成立した婚姻であっても同性婚による配偶者は含まれないところ、本年5月にフランスで「同性婚法」が施行されるなどの近時の諸外国における同性婚に係る法整備の実情等を踏まえ、また、本国で同性婚をしている者について、その者が本国と同様に我が国においても安定的に生活できるよう人道的観点から配慮し、今般、同性婚による配偶者については、原則として、在留資格「特定活動」により入国・在留を認めることとしました。ついては、本国で有効に成立している同性婚の配偶者から、本邦において、その配偶者との同居及び扶養を受けて在留することを希望して「特定活動」の在留資格への変更許可申請がなされた場合は、専決により処分することなく、人道的観点から配慮すべき事情があるとして、意見を付して本省あて請訓願います。なお、管下出張所長へは、貴職から通知願います。

平成25年10月18日管在5357号の通達によれば、入管法上の「配偶者」という言葉には、同性婚は含まれません。
よって、同性婚をしたパートナーの方は、「日本人の配偶者等ビザ」、「永住者の配偶者等ビザ」、「家族滞在ビザ」を取得できません。

しかし、「特定活動ビザ」の取得の余地が認められていますので、以下、2つの場合に分けて解説します。

外国人同士の同性婚の場合

上記の通達によれば、外国人同士の同性婚の場合において、当該外国人当事者の各本国において婚姻が有効に成立している場合には、一方に在留資格があれば、そのパートナーは「特定活動ビザ」への在留資格変更の可能性があります。

例えば、ドイツ国籍で永住者の女性Aさんとフランス国籍で留学生の女性Bさんの婚姻が両国で有効に成立した場合には、Bさんは「特定活動ビザ」への変更が認められる可能性があります。

「特定活動ビザ」は、あらかじめ告示で定められている「告示特定活動ビザ」と告示では定められていない「告示街特定活動ビザ」に分かれます。

両者の大きな違いは、在留資格認定証明書交付申請(外国にいる方が日本で長期的に暮らす際に一般的に行う申請)が認められるか否かです。

すなわち、告示特定活動であれば、在留資格認定証明書交付申請が認められますが、告示外特定活動であれば、在留資格認定証明書交付申請が認められないため、
①短期滞在ビザなどで日本に入国してから、
②「特定活動ビザ」への変更許可申請を行う必要があります。

同性婚のパートナーの方に認められているのは、告示外の「特定活動ビザ」ですので、パートナーの方が外国に居る場合には、上記①②の手順の手続きが必要となります。

外国人と日本人の同性婚の場合

上記の通達は、「本国で有効に成立している同性婚」が対象です。
すなわち、婚姻当事者の一方の本国法が同性婚を認めていない場合には、上記の通達を根拠として「特定活動ビザ」への変更が認められるとは言えないのです。

上記の通り、日本では同性婚は法的に有効な婚姻と認められていません。
よって、日本人と同性婚をしているパートナーの方について、特定活動ビザが認められるか否かは、解釈が分かれるところでした。

もっとも、2022年9月30日、日本人男性とアメリカで結婚したアメリカ国籍の男性が、日本国内で長期のビザが認められないのは不当であるとして国を訴えた事件において、東京地方裁判所は、「外国人同士の同性カップルであれば『特定活動』という在留資格が与えられるのに、外国人と日本人のカップルだと認められないのは、法の下の平等を定めた憲法の趣旨に反する」として、「特定活動ビザを認めなかった日本政府の対応を違法と判断しました。

なお、このアメリカ国籍の男性が求めた「定住者ビザ」への変更の主張については、「現在のところ日本に同性の結婚を認める規定はなく、配偶者と同じような地位や、特別な事情があると考えるのは困難」として認められませんでした。

上記の東京地裁の判決は画期的な判断と言えますが、実務がこのとおりに動くのはまだ先の話です。
最高裁大法廷の違憲判決が出て通達が変更されるまでは、入管実務の運用が変更されることはありません。

したがって、現状ではまだ、外国人と日本人の同性婚において、特定活動ビザは与えられません。

婚姻当事者双方の本国法が同性婚を認めていない場合

例えば、日本人と中国人の同性間のカップルのように、婚姻当事者双方の本国法が同性婚を認めていない場合については、上記の通達も東京地方裁判所の判決も対象としておりません。

現状では、婚姻当事者の一方の本国法が同性婚を認めない限り、ビザが認められる可能性は低いと思われます。

同性婚のパートナーのビザの要件

告示外特定活動ビザは、法律上も告示でも規定されていないため、その許可要件は明確ではありません。
もっとも、在留資格一般に言える要件として、①在留の必要性と②在留の許容性が求められます。

これを踏まえれば、上記の通達では以下の要件が求められていると解釈できます。

① 外国人同士の婚姻が各本国法上、有効な婚姻として認められていること
(在留の必要性)
② 本邦で婚姻生活を送るに足る生計基盤を有すること
(在留の許容性)

①の要件では、上記で解説したとおり、婚姻当事者の各本国法で有効に同性婚が成立していることが求められます。
長期間同棲をしているものの婚姻はしていないという事実婚の状態では、この要件は満たされません。

また、この「特定活動ビザ」は日本でパートナーとして共同生活を送ることをその活動内容としているので、単に法律上同性婚が成立しているだけでは足りず、実体のあるパートナーとしての関係性があることが求められます。
二人の交際に至る経緯や、親族との交流状況、婚姻に至るまでの経緯等の具体的な証明が求められる点は、「日本人の配偶者等ビザ」などと同じです。

②の要件も、「日本人の配偶者等ビザ」などの同様に、日本で婚姻生活を送るに足りる収入や資産があることが求められます。

あとがき

なお、日本においては、近年東京都をはじめ多くの自治体で同性間の「パートナーシップ制度」が導入され始めています。この制度を利用する事により、婚姻関係と同じように得られる権利もありますが、全てではありません。特に生命保険や企業の家族手当といった民間のサービスでは、パートナーシップ制度を活用することで権利の拡大が進んでいますが、同性カップルの権利保障という面から見て完全な制度とは言えないのが現状です。

ご相談をお考えの方は >> 無料相談予約フォーム

ページの先頭へ

   

03-6450-2865

受付時間:10時~19時(平日)、10時~17時(土曜)

03-6450-2866(24時間受付)