配偶者ビザ不許可事由の対応

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配偶者ビザ不許可事由の対応

配偶者ビザが不許可となる事由は、様々です。このコンテンツでは配偶者ビザを申請して不許可になった場合の対応を事例に沿って説明していきます。

不許可事由を把握する

配偶者ビザの申請後、不許可になった場合、不許可通知が申請人又は申請取次者に送付されます。その場合申請人又は申請取次者若しくは申請人と取次者が同行して出入国在留管理局(以下「当局」という。)に出頭して不許可事由を確認する事ができます。その場合、当局の担当者は不許可事由を説明してくれますが、申請人(夫又は妻)が聞いた場合と申請取次者(プロ)が不許可事由を聞いた場合にはプロが聞いた方が断然有利となります。

何故かというと申請人は初めてであり知識も経験もないが、プロ(300件以上の許可事例)の場合には申請件数も事例も多いので当局の担当者から不許可事由を一言聞いただけで本件の不許可事由がすべて解る場合があります。即ち経験が多ければ多い程、今後どの様な対策を取れば次に許可になるかということが了知できるからです。更に言えば経験が多ければ当局の担当者と顔見知りとなり暗黙の了解で様々なポイントを提示してくれる場合もあるのです。

結婚の信ぴょう性

偽装結婚や悪徳ブローカーが介在した結婚を防止する為、配偶者ビザの申請において結婚の信ぴょう性というのが非常に重要なポイントとなります。申請人の結婚は偽装結婚ではなく、真正の結婚であることの立証責任は申請者本人にあります。出会った経緯から付き合うまで、そして結婚に至るまでの経緯を詳細に文書に記載していく必要があります。またそれを裏付ける写真や通話記録そして、SNS(ラインやインスタ等)の提出も多数必要となります。

日本で生計を維持することができるか
外国人配偶者との日本で生活をしていく上で、経済的観点から安定・継続的に生活できることを立証する必要があります。尚、当局は「課税証明書」に記載されている給与収入を見て、申請者の収入を判断します。個人事業主の方で確定申告をしていない又は会社経営者の方で役員報酬をゼロにしていたり、極端に少なくしている方は課税証明書に収入が反映されませんので注意が必要です。

収入が少ない方は、現在の資産、就職活動の状況、両親からの援助、様々な方面から検討し、お金の面で問題がないことを説明し、それを裏付ける資料を添付していくことが絶対条件になります。

配偶者ビザ不許可事由(婚姻迄の経緯)

交際期間が短い

配偶者ビザを取得するためには、交際を経て、良縁に恵まれ婚姻に至ったことを書面で立証していく必要があります。
自分達は真正な結婚なので何の問題もないと考えている場合がありますが、交際歴が短い場合には、当局からあらぬ嫌疑を抱かれ、配偶者ビザが不許可になってしまう場合もあります。

実際にはどのくらいの交際期間を経ればいいのかと疑問に思う方もいるのは当然ですが、日本人同士であれば、一週間前に知り合って結婚しても何の問題もありません。しかし、外国人同士の結婚の場合には前項でも説明したように、当局は偽装結婚を前提に配偶者ビザの審査をするので、不規則な場合や変則的なケースは不許可になるケースもあります。
したがって、そのような場合には、通常よりも高度な婚姻実体の立証が必要となるのです。

年齢差が大きい

日本人同士の場合、20歳差又は30歳差の結婚もあり、特段めずらしくもありません。
しかし、外国人同士の結婚の場合には年の差婚の場合には、類型的に見ると日本人側が騙されてしまっている場合があり、当局はそのような事例は特に疑義をもって審査をします。

そのため、著しい年の差婚で配偶者ビザを取得するためには、通常よりも合理的且つ丁寧な書面を作成し、夫婦としての真実の愛情ある実体を立証する必要があります。

コミュニケーションが取れていない

当局が審査の中で特に注意している点が夫婦のコミュニケーションです。そもそも、アプリを使ってコミュニケーションを図るケースや通訳者が別にいるケースは、夫婦のコミュニケーション不足以前の問題だからです。

配偶者ビザの許可、不許可に関わらず、夫婦共通のコミュニケーション言語を持つことは、当り前の話であって共通言語でコミュニケーションが取れない場合には不許可の可能性がとくに高まります。即ち、夫婦共通のコミュニケーションが取れないのに、当局は何故結婚するのだろうと思うのは、合理的に考えて当たり前の話だからです。

交際期間が前婚と重なっている

当局の審査は、交際期間が前婚と重なっている場合特に注意が必要です。

「配偶者ビザの注意点とポイント」のコンテンツでも説明しましたが、社会通念で判断する当局審査においては、一方の前婚期間中の現婚の交際は、信憑性がないと判断される可能性がもっとも高くなります。
そのため、仮に前婚の婚姻関係が実質的に破綻をしていたのであればその具体的事実を、また前婚が破綻はしていなかった場合であっても、どのような経緯で交際を開始し、前婚が離婚に至り、そして再婚にまで至ったのか写真やSNS(日時が反映されているもの等)で詳細を明らかにする必要があります。

インターネットで出会っている

国際結婚の局面においても、出会いの形は多様化しています。それに伴い、偽装結婚の手口も、複雑かつ巧妙化しているのが現状です。

これらの状況に鑑み、出会いの経緯については、当局は特に慎重な審査をしています。インターネットで男女が出会うことは決して悪いことではありませんが、配偶者ビザの当局審査では通常よりも高いレベルで、婚姻に至るまでの経緯を明確にする書面で説明する必要があります。

結婚紹介所を介して出会っている

結婚紹介所を介して出会っている場合も交際の実態に嫌疑を抱かれやすく、配偶者ビザが不許可となりやすい典型例だと言えます。
また、日本人側の婚姻意思が明らかであったとしても、外国人の方が国際結婚をビザ取得のための便法としていることが多々あるため、注意が必要です。

結婚紹介所を介して出会っている場合には、入会金の価格や月額会費(とくに男性が高額)の他結婚に至った場合には紹介所にいくら払うのか等詳しく説明する必要があり、なぜ結婚紹介所に登録するに至ったかなどを赤裸々に説明すると共に、二人の交際実態を詳細に明らかにしていく必要があります。

現在のビザの期限直前に配偶者ビザ申請をしている

就労ビザを保有する外国人が離職中でビザの期限が迫っている場合や、留学ビザを保有する外国人が退学や卒業をして、次の進路が決まっていない状態でビザの期限が迫っている場合の配偶者ビザの申請は、配偶者ビザの不許可リスクが高まります。

その理由は、日本に滞在を続ける理由として、配偶者ビザを選択するしか他に方法と手段がなく、又、知り合いの男性が外国人女性が本国に帰国せざるを得ないことを不便に思い、婚姻の意思がないのにも拘らず結婚、やむなく配偶者ビザの手続きを行った場合等が挙げられます。

このような場合には、就労ビザや留学ビザでの活動を離脱するに至った経緯を説明することはもとより、夫婦の交際実態の立証を慎重におこなった上、配偶者ビザを申請する必要があります。

親族が国際結婚をしたことを知らない

親族が結婚した事実を知らない場合には、配偶者ビザの不許可リスクがかなりの割合で高まります。
さらに、当局に提出する質問書という書類でも、親族が結婚の事実を知っているか否かを問われており、交際の信憑性を左右する一つの要素になっています。

したがって、両親や家族全員から結婚を反対されていながらも結婚をしたケースなどでは、その経緯を丁寧に説明し、その他の交際実態の立証に注力することによって、真正婚であることを明らかにしていく必要があります。

一方の国でしか結婚をしていない

国際結婚は、基本的に当事者の双方の国籍国での手続きが完了していなければなりません。
そのため、一方国でのみ結婚を成立させた状態では、完全には国際結婚手続きを完結したとはいえず、婚姻の信憑性の判断において、不許可となる可能性があります。

「法務省における法令適用事前確認手続」(※注1)によれば、一方の国でしか結婚をしていない場合は、配偶者ビザが必ず不許可になるとは記載していないものの、相手国の婚姻証明書が提出されないことに起因して、婚姻実体の立証が不十分となることはあり得るとしています。

しかし、日本人と外国人の結婚において、外国側の手続きが何らかの理由で履行できない場合であっても、婚姻届が受理され日本側の官庁に対する手続きを履行している場合には、当局に説明書を提出すれば、配偶者ビザの許可が下りる可能性はあります。

婚姻から相当期間経ってからの配偶者ビザ申請

婚姻をしたものの、お互いの本国で暮らし長期間別居生活を送っていた場合等です。

様々な事情があり、配偶者の招へいに時間が掛かったものと予想はされますが、婚姻したにも拘わらず長期間にわたり夫婦としての同居実態が全くなかった事は、社会通念に照らせば著しく不自然であるため、なぜ配偶者ビザ申請をするまでに時間が掛かったのかを合理的に明らかにし、加えて長期間の空白期間について、夫婦の交流状況の実態を明らかにする必要があります。

会った回数が極端に少ない

配偶者ビザを取得するためには、どのように交際をし、結婚をするに至ったのかを明らかにする必要があります。

そして、会った回数が少ない場合には、交際実態について嫌疑を抱かれる可能性が高くなりますので、そのまま配偶者ビザの申請をおこなうのか、もう少し交際を重ねてから配偶者ビザの申請をおこなうかを判断する必要があります。

具体的に、何回会っていないと許可にならないという基準はありませんが、数回の交流のみで結婚に至っている場合には注意を要します。

過去の素行歴及び在留状況

外国人配偶者側の過去の素行や在留状況も審査のポイントとなります。過去の犯罪歴や不法就労等がある場合注意が必要です。

不許可事例

▶ パブで知り合う
留学生や就労系の在留資格で滞在している外国人は、外国人パブ等(資格外活動は風俗営業を除くとされている)で働くことは重大な資格外活動違反となり出国命令や退去強制事由となり、最悪の場合資格外活動違反に加えて他の法令違反が重畳した場合には上陸拒否事由になってしまう事もあるので注意が必要です。
▶ 難民申請中から配偶者ビザへの変更申請

外国人配偶者の経歴が過去の書類と異なっている

外国人配偶者が、過去に留学や前婚の結婚等で来日経験がある場合に問題となることがあります。

具体的にいうと、留学や前婚の結婚等で来日する際に当局へ提出した書類と、今回の配偶者ビザ申請の際の経歴が明らかに異なる場合などが想定されます。

仮に、経歴齟齬が明らかになった場合には、配偶者ビザ申請そのものが信憑性を失い、不許可になってしまうことがあるので注意が必要です。

配偶者ビザ不許可事由(生計要件)

生計の継続的安定性

配偶者ビザの許可を取得するためには、夫婦で生活を維持する安定収入が必要となります。
そのため、仮に夫婦での生活が困窮する可能性があるような収入状況の場合には、配偶者ビザが不許可となる可能性は高くなります。

生活が困窮する可能性があることは、上陸拒否の事由にもなっています(出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第5条第1項3号)。

参考条文:入管法第5条第1項3号(上陸の拒否)
第5条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。
③貧困者、放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者

つまり、入管法第5条第1項3号は、生活保護などを受ける可能性の高い外国人については、公共の負担の増加を防止するため、日本への入国は認めないとしています。

配偶者ビザの審査についても同様に、夫婦での収入状況が厳しく審査されます。
具体的な収入金額については法的な定めはなく、扶養家族の状況、生活状況、雇用の安定性などを総合勘案し、判断されることになっています。

雇用形態が不安定

一般的に雇用形態には、正社員、派遣社員、パートタイム労働者、短期間正社員など様々な形態があります。

配偶者ビザの当局審査において、雇用形態は安定した収入状況を示す重要な要素となります。
例えばアルバイトの場合には、正社員の方に比べて、収入の安定性が劣ります。
また、勤務年数なども、安定的な収入状況を示す重要な審査ポイントになります。

そのため、勤務年数が少ない場合やアルバイト勤務の場合には、通常よりも収入状況の立証は慎重におこなう必要があります。

所得課税証明書が提出できない

所得課税証明書が提出できない理由として、前年度無職(非課税)であった場合、あるいは日本人配偶者が外国で仕事に就いていた場合などが考えられます。

まず、前年度無職であった場合には、その年齢によって当局の判断は異なります。
例えば、日本居住の稼働年齢にある夫について、前年度の所得課税証明書が発行されない場合には、消極的に審査をされ、配偶者ビザの不許可リスクは高くなります。

仮に体調不良や特別な事情があり無職であった場合には、その理由を明らかにすることに加え、今後どのように収入を得て生活をしていくのかを明確にすることが必要となります。

しかし、当局の審査はあくまでも当然ですが過去の実績(前年度及びそれ以前)で審査してくるわけですから、将来の不確定要素の収入(見込)だとなかなか配偶者ビザの許可はされません。したがって、このような場合に許可を高めるには家族の援助等のエビデンスが必要になってきます。
また、海外出向などを理由として、日本人配偶者が外国で仕事に就いていた場合には、海外の収入状況を示すと共に、上記同様、今後の日本での収入状況を明白な形で示す必要があります。

したがって、いずれのケースについても、何らの補足説明をすることなく配偶者ビザを申請すると不許可リスクが伴いますので、所得課税証明書が提出できない理由を明らかにすることはもとより、今後の生活状況を示すことの他、不則の事態に配偶者ビザの申請が重なった時には親族からの援助他、自立するまでの明確な説明がとても重要になってきます。

税金の滞納や未納がある

配偶者ビザを申請する際には、当局へ住民税の納税証明書を提出する必要があります。

納税証明書において、滞納がある場合には未納額としてその旨と金額が記載されます。
税金の滞納がある場合には、配偶者ビザの審査において、生活基盤に問題があると判断され、不許可になる事は避けられません。

年金や健康保険が未加入

配偶者ビザの一方の配偶者は日本国民であり、その一方の外国人の年金の加入義務や健康保険の加入は日本国民の妻又は夫は日本で生活していく上で、公共サービス等を受けていく訳だから反射的利益としての年金や健康保険への加入は当然の義務となってくるわけです。即ち、外国人の妻や夫はその公共サービスである年金や健康保険に加入していなければ外国人配偶者は不許可になる可能性は高まります。したがって、今後日本で生活していく事が明かな外国人配偶者は生活実態として公的義務に加入することは自分自身に取っても利便性が高まることは明らかです。

配偶者ビザの再申請の着手

配偶者ビザの不許可理由を確認したら、不許可の理由をリカバリーして再申請に着手します。不許可理由を完全にリカバリーしなければ、再申請しても結果は同じです。再申請にあたっては、本格的なプロの目線による徹底的な不許可事由の洗い出しと書類の点検、特に不許可になった部分をどのように許可にしていくかの高度な文章での説明が必要になります。当事務所では不許可理由の確認からリカバリーして再申請で許可が出るまで徹底的にサポートしております。中には、不許可理由をリカバリーするために、申請内容を変えたりして申請する方もいらっしゃいますが、前回の申請と矛盾が生じれば不許可の可能性は格段と上がってしまいます。

まとめ

本コンテンツでは配偶者ビザの不許可事由を説明してきましたが、この説明でも足りないくらい不許可事由は存在します。

配偶者ビザは一度不許可になってしまうと、繰り返すようですが、再申請の際の難易度が格段に上がってしまいます。
また、再申請のために相当の労力を要することはもとより、専門家に依頼した場合のコストも通常よりも高く掛かってしまいます。

そのため、不許可とならないようにしっかり準備を行う事が重要ですが、どうしても経験がない事から、不許可になってしまい、
「何をしたらいいのか解らなくなってしまった。」
と八方塞がりとなってしまう、という事が良くあります。したがって、配偶者ビザの手続と自分の仕事との兼ね合いの中、限界を感じた場合には、第三者であるプロに相談する事が一番早い解決法になる事は言うまでもありません。その様な状況になった時には、時間を掛けずに早目の相談をおすすめします。お気軽にご連絡下さい。

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