配偶者ビザの更新手続
配偶者ビザの在留期間
配偶者ビザの更新手続きは在留期間の満了期日の3箇月前から住所地を管轄する入管で申請を行う事ができます。そして、配偶者ビザの在留期間は、「6月」「1年」「3年」「5年」のいずれかとなっています。配偶者ビザの在留期間については在留カードの表面に記載されております。
配偶者ビザの在留期間は更新時に「何年」になるのか、が申請人夫婦は気になるところですが、配偶者ビザの期間のパターンとしては、1年(初回)→1年経過後さらに「3年」と徐々に増えていく類型となります。
めずらしく初回から3年付与される方もいますが、通常は「1年」です。そして、3年以上の期間が付与されると、永住権の住居要件を満たし、日本での永住権獲得のための申請要件をみたすことになります。そしてちなみに「6月」という期間については、夫婦が離婚調停中であるとか離婚裁判中の場合です。
その場合、離婚が法的に確定後は、6箇月以内に本国に帰国するか、又は「定住」に変更(但し要件を満す場合)し、継続して日本で生活する事になります。したがって、配偶者ビザを取得し日本に滞在している方は、在留期間が満了するまでに、ビザの更新手続きを行わなければなりません。
本コンテンツでは、配偶者ビザの更新手続きや配偶者ビザの更新時における審査のチェックポイントや更新時の書類について解説していきます。
目次
配偶者ビザ更新申請のポイント
配偶者ビザの更新は、婚姻が継続しているだけではなく、今回の更新期間において、生計要件である継続的安定性や素行要件に抵触していないか等が審査対象になります。それでは本コンテンツでは配偶者ビザの更新の申請ポイントを個別事案ごとに詳細にご説明していきます。
婚姻生活が円満で問題がないこと
夫婦が同居・扶助・協力して、生計を共にしていることが当たり前の事ですが前提要件となります。しかし、やむを得ない事情で週に1回しか同居していない場合や、外国人である配偶者が長期間日本に不在であった場合でも、理由によっては配偶者ビザの更新が許可されることもあります。
では、日本を長期間不在であっても配偶者ビザの更新許可をもらえる理由とは一体どのような要件を具備すれば付与されるのでしょうか。
それは、
①単身赴任等の仕事上の理由
②病気
③本国にいる両親の介護等
が代表例です。
ここで注意してもらいたいのは事例にあげた事案に合理的な理由があったとしても、それを入管に書面で疎明できなければ、配偶者ビザの更新許可はされないということです。
たとえば、自宅と単身赴任先を行き来していることを証明できる資料「高速道路を利用した領収書」や、「新幹線のチケットや領収書」などや、両親の介護が必要であることを明らかにする書類「医師の診断書」などや、日本人夫が服役中の場合は「在監証明書」を必要書類と共に提出することが、入管審査の観点からは重要な書類となります。
素行が善良であること
法律を犯すことなく、また税金の支払い等の公的義務を履行していることが求められます。
よくあるのが、住民税などの税金に関して納付期限を過ぎても支払いをしていないいわば公共機関に対する「債務不履行」の状態を指します。
したがって配偶者ビザの更新手続き前に、公的義務の履行状況を必ず確認するようにしてください。
婚姻生活を継続するための安定性があること
扶養者である配偶者の収入が低かったり、夫婦どちらも無職の場合には、配偶者ビザの更新申請が不許可になってしまう可能性があります。
しかし、上記のような状況にあっても、例えば日本にいる両親や親族から生活費の援助を受けている場合や、夫婦どちらか一方の就職先が決まっており安定した収入を見込める場合は、配偶者ビザの更新申請前に、生活費の援助を受けていることが分かる資料や、内定先の雇用契約書や内定通知書等を必要書類と共に提出することで、配偶者ビザの更新申請が認められる可能性もあります。
収入については、仮に直近の1年間の収入額が、本人に被扶養者を加えた人数に78万円を乗じた金額(国民年金の基礎年金の年間受給額が参考とされています。)以上であるか否かが、目安とされています。
入管法に定める規定を遵守していること
中長期在留者は、在留カードの記載事項に係る届出、所属機関等に関する届出などの義務を履行しなければなりません(入管法第19条の7から第19条の13まで、第19条の15及び第19条の16)。即ち、日本に在留する外国人は入管法の規定を遵守しなければ入管法の規定に抵触し入管法違反となり、更新手続きの不許可リスクが高まる事となります。
したがって、配偶者ビザをお持ちの方も中長期在留者に該当するので、引っ越しにより住居地に変更があった場合などは、住居地を定めた日から14日以内に従前の住所地を管轄する役所への転出届と、引越先の住所地を管轄する役所に転入届を提出する必要があります。
以上が、配偶者ビザの更新時の審査ポイントとなります。
なお、配偶者ビザの更新において不利な事情がある場合でも、隠匿(かくす)や虚偽の内容を記載することは虚偽申請となりほとんどの場合不許可になります。
実務上では、虚偽申請を行ったことの一事をもって不許可になる事例が多く発生しています。
例えば、配偶者と婚姻後日本で同居の事実がないにも関わらず、その事実を隠して入管に更新許可申請を行い不許可になる、といったものです。
納税義務を果たしていること
3年以上の配偶者ビザを取得したい方は、しっかりと納税義務を果たしていることもポイントとなります。ご自身が専業主婦(主夫)の場合は、日本人配偶者が納税義務を果たしていることがもっとも重要です。
且つ、将来において永住権を取得する予定があるならば、税金・年金・健康保険などを入管が定める一定期間遅滞なく履行(支払い)していることが大切です。
配偶者ビザの更新の必要書類
配偶者ビザの更新の必要書類については << 必要書類(日本人の配偶者等)をご参照ください。
更新時に審査の難易度が上がる事例
下記のいずれかに当てはまる場合は、上記の必須書類に加えて任意書類の提出が不可欠となります。任意書類を提出せず更新手続をした場合には、説明・疎明が足らずに不許可となる可能性があります。
配偶者ビザの在留期間内に離婚及び他方の日本人と婚姻した場合
入管法上での日本人の配偶者という身分は変わらないため、手続上は変更ではなく、更新手続となります。
婚姻の破綻が疑われる場合
日本人と離婚後、再婚した場合:再婚した場合には、更新手続きだが必要書類は変更に同じ |
必要書類+質問書、スナップ写真、その他任意書類(離婚、再婚経緯の説明など) |
婚姻の安定的継続性が疑われる場合
(1)配偶者と別居している場合:正当な理由がある場合 |
転勤の場合は辞令書・里帰り出産(出産事項証明・出産届など) |
(2)初回申請と更新時で申請書の記載内容が異なる又は矛盾がある場合 |
事情説明書、疎明資料(事情説明を裏付けるエビデンス)、反省文など |
国内外での素行が疑われる例
(1)世帯収入が減少した場合及び無職期間があった場合 |
求職中の場合は就職活動が確認できる書類、雇用保険受給者資格者証、預金通帳など |
(2)日本人配偶者または外国人本人が転職した場合:内定通知+給与金額必要 |
内定通知書、雇用契約書、給与明細など |
まとめ
配偶者ビザの更新手続では、夫婦の収入、同居の有無、在留状況(違反の有無)などが改めて審査されますが、初回の配偶者ビザ申請時と状況に変わりなければ必要書類の提出のみで審査がスムーズに進み更新できることが通常です。
しかし、更新申請前に離婚・再婚した場合、収入が減少した(退職や転職)場合、別居している場合、税金の未納がある場合などには、新しく配偶者ビザを申請する場合と同様に審査が厳格になりますので、必須書類のほか任意書類を提出し消極的要素について積極的に説明し疎明を行うべきです。また、提出書類が不足する場合には、審査期間が1~2カ月以上かかったり、不許可となるリスクも相当の割合でありますので注意が必要です。
当所では、離婚・再婚、収入の減少、夫婦の別居や犯罪その他などの消極的要素(不許可の可能性が高い)が生じた場合の配偶者ビザ更新手続を行っています。ご自身や夫婦では解決できない問題についてはできるだけ詳細な資料をご持参のうえ、ご相談下さい。当所の長年の実績やプロの知見による考察によりできるだけ更新が許可に近づく解決方法をご提案いたします。お気軽にお問い合わせ下さい。
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