日本人とベトナム人の結婚手続き
はじめに
日本人とベトナム人が結婚するためには、日本とベトナムの両国で法的手続きを適切に行う必要があります。手続きは、「ベトナムで結婚する場合」と「日本で結婚する場合」の2つの方法があります。それぞれ必要書類や手順が異なるため、本記事では詳細に解説します。
ベトナムで婚姻手続きを行う場合
ベトナムで結婚を成立させる場合、ベトナムの法律に基づいた手続きを進めた後、日本の市役所に婚姻届を提出し、日本の戸籍に婚姻を反映させます。
日本側の準備(婚姻要件具備証明書の取得)
ベトナムで婚姻手続きを行うためには、日本人配偶者が「婚姻要件具備証明書(Certificate of Legal Capacity to Contract Marriage)」を取得する必要があります。
必要書類
- 戸籍謄本(発行から3ヶ月以内)
※戸籍法の改正により2024(令和6)年3月1日から本籍地以外の役所に婚姻届を提出する場合も戸籍謄本の添付は不要になりました。
ただし、婚姻届には戸籍の本籍の記載が必要です。 - パスポート(原本およびコピー)
- 独身証明書(必要な場合あり)
- 在職証明書(収入を証明するため)
- 婚姻要件具備証明書申請書(大使館にて入手可)
手続きの流れ
- 日本の市役所で戸籍謄本を取得
- 在ベトナム日本大使館または総領事館にて「婚姻要件具備証明書」を申請
- 約1週間程度で証明書の発行(即日交付される場合もあり)
注意点
婚姻要件具備証明書はベトナム語訳が必要です。
ベトナムの公証機関で公証手続きを行います。
ベトナム側の婚姻手続き
婚姻要件具備証明書を取得した後、ベトナムの人民委員会(省・市役所)にて婚姻登録を行います。
必要書類
- 日本人配偶者の婚姻要件具備証明書(ベトナム語訳付き)
- 日本人のパスポート(ベトナム語訳付き)
- ベトナム人の出生証明書
- ベトナム人の身分証明書(国民IDカード)
- 健康診断書(婚姻適性診断書)(ベトナムの指定病院にて取得)
- 結婚申請書(役所にて入手)
- 証明写真(4cm×6cmの写真を2枚)
手続きの流れ
- 書類を人民委員会に提出し、面接の日程を決定
- 面接を実施(結婚意思の確認・言語通訳が必要な場合あり)
- 問題がなければ、婚姻証明書(Giấy Chứng Nhận Kết Hôn)が発行される(通常約1ヶ月)
注意点
日本人配偶者はベトナム滞在期間が30日以上であることが求められる場合があります。
手続きの所要時間は、市や省によって異なることがあります。
日本側の婚姻届提出
ベトナムで結婚が成立したら、日本の役所に婚姻届を提出し、日本の戸籍に婚姻を反映させる必要があります。
提出期限
ベトナムでの結婚成立から3ヶ月以内に届け出る必要があります。
必要書類
- ベトナムの婚姻証明書(日本語訳付き)
- ベトナム人の戸籍謄本(ベトナム語から日本語に翻訳が必要)
- 日本人配偶者の戸籍謄本
- 婚姻届(日本の市役所にて入手)
- パスポートのコピー(両者分)
手続きの流れ
- 必要書類を日本の市役所へ提出
- 書類審査後、戸籍に婚姻内容が反映される
日本で婚姻手続きを行う場合
日本で婚姻手続きを行う場合、日本の市役所で婚姻届を提出し、ベトナム側でも婚姻報告を行います。
日本の役所で婚姻手続きを行う流れ
必要書類
- 婚姻届(証人2名の署名が必要)
- 日本人の戸籍謄本(発行から3ヶ月以内)
※戸籍法の改正により2024(令和6)年3月1日から本籍地以外の役所に婚姻届を提出する場合も戸籍謄本の添付は不要になりました。
ただし、婚姻届には戸籍の本籍の記載が必要です。 - ベトナム人の婚姻要件具備証明書(在日ベトナム大使館にて取得)
- ベトナム人のパスポートのコピー
- 住民票(日本に在留している場合)
手続きの流れ
- 日本の市役所へ婚姻届を提出
- 必要書類が揃っていれば即日受理
- 婚姻届受理証明書を取得し、ベトナムの人民委員会へ報告
ベトナム側の婚姻登録
日本で婚姻届が受理された後、ベトナム側にも報告を行い、婚姻を登録します。
必要書類
- 日本の婚姻届受理証明書(ベトナム語訳付き)
- 日本人の戸籍謄本(ベトナム語訳付き)
- パスポートコピー
注意点
日本の結婚手続きを行った場合でも、ベトナムの法律上認められるためには、ベトナムでの登録が必要です。
ベトナム人を日本に配偶者ビザで招聘する手続き
次に日本人とベトナム人が結婚し、日本で一緒に生活するためには、「日本人の配偶者等」ビザを取得する必要があります。このビザを取得するためには、「在留資格認定証明書(COE)」の取得と、その後のビザ申請が必要です。
本記事では、ベトナム人配偶者を日本に呼び寄せるための手続きを詳細に解説します。
日本人の配偶者等ビザとは?
「日本人の配偶者等」ビザは、日本人と結婚した外国人(ベトナム人配偶者)が、日本で合法的に滞在し、就労の制限なく生活できる在留資格です。
日本人の配偶者等ビザの特徴
項目 |
詳細 |
在留期間 | 6ヶ月、1年、3年、5年(審査結果による) |
就労の可否 | 就労制限なし(どんな職種でも就労可能) |
家族滞在の可否 | 子供や扶養家族も申請可能(別途申請が必要) |
更新の必要性 | 在留期限前に更新手続きが必要 |
ビザ取得の主な要件
配偶者ビザを取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。
・婚姻の真正性(結婚が偽装ではなく実態があること)
・経済的安定性(日本で安定した収入があること)
・身元保証人の確保(日本人配偶者が保証人となる)
在留資格認定証明書(COE)の申請
ベトナム人配偶者が日本へ入国するためには、まず「在留資格認定証明書(COE)」を取得し、それをもとに日本の配偶者ビザを申請します。
COEの申請者
日本人配偶者が申請者となり、日本国内の出入国在留管理局へ提出します。
COEの申請先
日本の地方出入国在留管理局(東京、大阪、名古屋など)
COE申請時の必要書類
必要書類 |
説明 |
在留資格認定証明書交付申請書 | 入管庁公式サイトよりダウンロード |
日本人の戸籍謄本 | 婚姻事実が記載されているもの(発行から3ヶ月以内) |
住民票 | 世帯全員が記載されたもの |
ベトナム人配偶者の戸籍謄本 | ベトナム語から日本語に翻訳したもの |
収入証明書(源泉徴収票など) | 日本人配偶者の経済能力を証明するもの |
納税証明書 | 過去1年分の納税状況を証明 |
身元保証書 | 日本人配偶者が記入し、責任を持つことを明記 |
交際・結婚の経緯説明書 | 出会いから結婚に至る経緯、日付やエピソードを詳しく記載 |
夫婦の写真 | 交際や結婚式、日常生活の写真(5〜10枚程度) |
スナップ写真 | 親族や友人と一緒の写真で、結婚の信頼性を証明 |
COE審査期間
通常1ヶ月〜3ヶ月程度(地域や時期により変動あり)
審査で注意すべきポイント
婚姻の信憑性を示す証拠を十分に用意すること(写真・メール・SNS履歴など)
収入の安定性を示すため、年収300万円以上が望ましい
提出書類に不備がないよう慎重に準備すること
COE取得後のベトナム側でのビザ申請手続き
COEを取得後、ベトナム人配偶者は日本の配偶者ビザを申請します。
申請先
在ベトナム日本大使館または総領事館(ハノイ、ホーチミン)
ビザ申請に必要な書類
必要書類 |
説明 |
在留資格認定証明書(COE) | 日本の入管局から発行されたもの |
パスポート | 有効期限が十分に残っているもの |
証明写真(4.5cm×3.5cm) | 背景白のもの |
ビザ申請書 | 大使館指定のフォーム |
戸籍謄本の翻訳版 | ベトナム語から日本語への翻訳が必要 |
ビザ審査期間
1週間〜2週間程度
ビザ発給後の流れ
日本の空港に到着後、在留カードが発行される(成田、関西など主要空港)
14日以内に日本の市役所で住民登録を行う
健康保険・年金への加入手続きを進める
配偶者ビザ更新手続き
配偶者ビザは通常1〜3年の有効期間があるため、有効期限前に更新手続きを行う必要があります。
更新時に必要な書類
・更新申請書
・在留カード
・日本人配偶者の収入証明書(納税証明書など)
・夫婦の写真(結婚生活が継続している証拠)